現在、逞人の胸には中心静脈留置カテーテルが入っています。
1歳3ヶ月の時に手術をしました。
そのカテーテルを入れることになった経緯や内容を書き残します。
今回書くことは、あくまで逞人が経験したことですので、患者さんによって違いはあるかと思います。
- 中心静脈留置カテーテルとは
- 手術を決意した経緯
- 手術当日のこと
- 手術後のこと
- 今の逞人の状態と親の気持ち
1.中心静脈留置カテーテル手術
逞人の執刀医の先生から説明された内容を簡潔にまとめます。
今後、逞人の治療をしていく上で、点滴を入れる静脈ラインは必須になりました。
体の血液が心臓に戻ってくるための太い血管を(中心静脈)に、ブロビアックカテーテルという少し太い管を留置しておきます。
このカテーテルは前胸部から外に出る形になります。
メリット
- 末梢(手足等)静脈から点滴投与を行う場合、そのカテーテルは長期に留置していると感染症のリスクが高まるので、頻回の交換が必要になるが、ブロビアックカテーテルではそのリスクは低くなる
- 点滴が血管外に漏出する危険性が少なくなる
- カテーテルは全胸部から外に出すので、両手足が自由になる
- 薬剤を投与するときに濃い点滴をしても静脈炎が起きる可能性が少なくなる
- 点滴だけではなく採血をすることも可能
- きちんと管理すれば、合併症を起こさず、長期間使用可能
デメリット
- 使用するには小さな外科手術が必要
- 合併症が起こる可能性もある
合併症
- ブロビアックカテーテル挿入時に気胸や動脈穿刺の可能性がある
- 出血の可能性や傷などが感染することもある
- 全身状態が悪くなることも考えられる
2.手術を決意した経緯
逞人は生まれた時からずっと点滴や注射を毎日のようにされてきました。
もちろん治療のためですし、逞人が生命を維持する為には必要不可欠なことです。
しかし、ここ最近は主治医の先生も困惑するほど、点滴が取りづらくなっていました。
私は逞人に注射や採血なんてできないので、感覚はわかりませんが…
先生が言うには、採血ひとつするにも大変だったそうです。
採血の為にやっと刺し当てた血管からも、欲しい量の血液が採取できないということも多々あったそうです。
その上、体調を崩してしまった時には、さらに血管が細くなってしまって見えづらくなります。
先生が何時間もかけて何度も何度も針を刺し直して、無理矢理にルートを取って投薬するということが続いていました。
逞人は痛みに反応はできませんが、痛みを感じていないわけではないと思っています。
もちろん先生も逞人が痛い思いをしているだろうなと思いながら、逞人の両手足から一生懸命なんとかルートを取ってくれていました。
ずっとこの状態だったわけではなく、だんだんと徐々に徐々に点滴が取りづらくなってきていたので、このままではいつか限界を迎えることが予想されました。
もしも万が一の緊急事態(心肺停止や呼吸困難等)の時に、点滴が取れないことが原因で何の処置もできなくなることが1番の懸念事項でした。
そういった経緯もあって、先生からブロビアックカテーテルのことを提案され、夫とよく相談して手術することにしました。
もちろん親として、あんなに小さな子に全身麻酔の手術を受けさせることに対する不安や葛藤はありました。
カテーテルを入れてしまったら、もうこの逞人の綺麗な胸ともお別れなんだと悲しくもなりました。
手術の前日は、逞人の胸をたくさん撫で回して、たくさん頬ずりしました。
穴があいていない逞人の胸に感謝して、手術の成功を祈りました。
気管切開手術の時もそうでしたが、何よりも我が子が愛おしいあまり、心配で心配でたまらないんです。
でも、それでも、これで逞人は毎日の注射で痛い思いをすることがなくなるんだと信じて、手術をしてもらいました。
逞人の成長のために、私たちは見守り寄り添うと決めました。
3.手術当日のこと
気管切開についての記事で、逞人の気管切開手術の時と同じ先生が執刀してくださいました。
当日は希望すれば手術している部分(逞人の場合だと胸)だけを、別室からモニターで見ることができました。
気管切開の時と同様、逞人と一緒に頑張りたいと思い、手術の様子を見せていただきました。
手術直前の逞人の写真です。
まず、右鎖骨の上あたりを切開し、心臓に繋がる静脈を探し当て、そこにブロビアックカテーテルを挿入します。
次に、上の写真の矢印あたりを切開して、挿入したカテーテルを体内に這わせ、その穴からカテーテルの先を出します。
その後、先に切開した首元を縫って塞ぎます。
最後に、カテーテルを出している穴を固定して抜けないようにする為に、穴の隙間を埋めるように周りを綺麗に縫います。
手術後の逞人の写真です。
右胸に貼ってあるガーゼの下からカテーテルが入っています。
手術時間は1時間程度でした。
先生も「スムーズに手術できて、カテーテルも良いところに入りました」と言ってくださいました。
4.手術後のこと
無事に手術は終わり、体調も悪化したようには見えませんでした。
安心してホッとしたのも束の間、この後逞人は気胸になってしまいました。
逞人の中心静脈留置カテーテル手術は13時からでした。
15時には逞人のいつもの部屋に戻って来れて、状態も落ち着いていました。
しかし、夕方から少しづつ少しづつ頻脈になっていって、HR140を超えたあたりでCO2の値も上昇…
呼吸がどんどん苦しくなり、胸の上下もなく酸素濃度もどんどん低下していきました。
明らかに肺に空気が入ってないということで、レントゲンを撮ると肺から空気が漏れていて、それが肺を圧迫して空気が入らなくなり呼吸ができない状態でした。
それが判ったのが夜中の0時くらいで、急いで胸に針を刺して空気を一時的に抜くと、一旦は肺が膨らむようになり呼吸状態が改善しました。
脈も落ち着いて酸素濃度や二酸化炭素濃度も改善されたので、朝まで様子見していましたが…
やはりまた早朝4時くらいには肺から空気が漏れてきて、空気を抜く前と同じ状況になってしまいました。
一時的に空気抜いただけで、あいた穴は塞がってないので当然ですよね。
なので、早朝から局所麻酔をして胸の手術箇所の下あたりを切開して管を入れ、持続的に空気が抜けるように処置してもらいました。
上の写真の右脇腹にあるガーゼの下からドレーンが入っています。
その空気を抜くための管は、肺にあいた穴が塞がるまで入れていて、4日後くらいに抜いてもらいました。
原因はカテーテル挿入手術の際に肺を傷つけてしまった事による気胸でした。
5.今の逞人の状態と親の気持ち
逞人の手足は連日の採血や点滴で、注射跡まみれになっています。
傷として残り続けているそれを見るたびに、私も心を痛めることもありました。
しかし今では、点滴も採血も胸から入っているカテーテル1本で済んでいます。
逞人が痛い思いをせずに済んでいることが、私はとても嬉しいです。
緊急事態に点滴が取れなくて処置できなくなるリスク回避にもなりました。
頑張って手術を受けてくれた逞人に、本当に感謝と敬意の思いでいっぱいです。
よく頑張ってくれました!
手術後に気胸になってしまったことは、私も心配しましたし辛かったです。
でも今ではすっかり気胸も良くなって、無事にドレーンも抜けました。
カテーテル手術の説明の際に先生からは気胸の恐れについて説明も受けていたし、その他の懸念事項も聞いた上で、私たちは納得して手術をお願いしたので、先生のことを恨む気持ちはありません。
先生も逞人のことを良くしようと思って毎日診てくださっているし、術後の対応も的確だったと思います。
私はこの手術を逞人に受けてもらって、本当に良かったと思っています。
ありがとう!よく頑張りました!
このカテーテルは使わない時にはフタができるので、これからこのカテーテルをつけた状態での退院を目指す予定です。
逞人に対するケアがまた増えたし、前の在宅からは変更になっていることもたくさんあるので、また私も頑張って覚えなきゃ!!