逞人は産科医療補償制度の対象児です。
ぜひ「産科医療補償制度って…良い制度?」の過去記事もご覧ください。
現状、逞人の分娩経緯や脳性麻痺児となった原因分析をしていただいている段階です。
先日、機構から「事例の経過」が送られてきました。
分娩経過、産褥経過、新生児経過…全ての詳細がまとめられていました。
簡単に言うと、
「それを読んで、間違いはないか追加したいことはないか、なんでもいいので保護者からの意見もください!」
という内容でした。
じっくり読ませてもらって、いくつか付け足したいことを書き足して返送しました。
ネガティブな気持ちは一切なく、むしろ原因分析までしていただいて感謝の気持ちでいっぱいです。
せっかくこれだけ詳細にまとめてくださっているのだから、ここに残さないのはもったいない!
と思い、今回は送られてきた「事例の経過」の一部始終を公開したいと思います。
少しでも参考になれば幸いです。
- 妊産婦に関する基本情報
- 今回の妊娠
- 分娩経過
- 産褥経過
- 新生児経過
- 診療体制等に関する情報
0.事例の経過
事例の経過は、当該分娩機関および必要に応じて関連医療機関から提出された診療録等の資料に基づいて記載し、医学用語等も資料に記された表現を原則原文のまま使用している。
そのため、表現が必ずしも医学的に正確でないこともある。
<>の表題で記載された事項は、原因分析報告書の「事例の経過」を作成する過程で分娩機関等から提出された情報を記載したもの、または分娩機関の妊娠・分娩経過の情報に対して保護者から提出された意見などを記載したものである。
1.妊産婦に関する基本情報
年齢 | 身長 | 分娩時体重 | 非妊娠時体重 | 飲酒歴 | 喫煙歴 |
29歳 | 157cm | 57.2kg | 46.8kg | あり | なし |
アレルギー | 詳細 |
なし | |
既往・現病歴 | 詳細 |
なし | |
家族歴 | 詳細 |
特記すべき疾患なし |
2.今回の妊娠
分娩予定日 | 不妊治療 |
2020年3月26日 | 記載なし |
妊娠経過
3.分娩経過
入院年月日 | 週数 | 時刻 |
2020年2月21日(金) | 35週1日 | 10:30 |
陣痛開始 | 破水 | ||
週数 | 開始 | 週数 | 時刻 |
なし | 35週1日 | 帝王切開時 |
出血量 |
2124g/ml |
4.産褥経過
5.新生児経過
生年月日 | 在胎週数 | 性別 | 出生時体重 |
2020年2月21日 | 35週1日 | 男 | 2360g |
身長 | 頭囲 | 胸囲 | 特記事項 |
49.0cm | 33.6cm | 30.3cm |
臍帯血ガス分析値 | ||
pH | PCO2 | PO2 |
6.641 | 117.9mmHg | 13.8mmHg |
HCO3 | BE | 血液の種類 |
12.0mmol/L | -22.3nmol/L | 動脈血 |
アプガースコア | ||||||
生後 | 合計 | 心拍 | 呼吸 | 反射 | 筋緊張 | 皮膚色 |
1分 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
5分 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
出生後の経過
NICU入院以降の経過
初回の血液ガス分析値 | |||
時刻 | 血液の種類 | pH | PCO2 |
入院時 | 記載なし | 7.134 | 29.9mmHg |
PO2 | HCO3 | BE | その他 |
56.1mmHg | 10.0mmol/L | -17.5mmol/L |
初回血液検査 | |
生後3時間 | 白血球20800、ヘモグロビン18.8g/dl、ヘマトクリット57.6%、血小板259000/μL、CRP 0.06mg/dL、LDH 1068IU/L、CK 1597IU/L、PT 15%、APTT 113.4秒、フィブリノゲン83mg/dL、ATⅢ 25%、Dダイマー65.5μg/mL、DIC 5点 |
細菌培養検査 | |||
実施日 | 検査結果報告日 | 採取部位 | 結果 |
入院時 | 生後7日 | 血液 | 陰性 |
入院時 | 生後3日 | 胃液、外耳分泌物、臍分泌物、吸引痰 | 陰性 |
経過
入院時、右気胸あり、右気胸に対して単回55mL脱気、以降悪化なし、酸素は減量できている、自発呼吸なし、HFO管理
EEGで脳波はフラット、発作波なし、入院前は全身弛緩だったが、処置後は徐々に四肢が強直気味となり、触れると不随意運動が頻発しPB単回投与、低体温療法は早産児のため施行せず、硫酸Mg投与
入院時診断:重症新生児仮死、両側気胸、早産児、低出生体重児
◎呼吸
生後1日 血圧低めでHFO→IMVへ
生後7日 ハミングVからゼクリクストへ
生後8日 右完全無気肺、ハミングHFOへ、生食洗浄、STA、NPO、抗菌薬、体位変換と吸痰を積極的に施行、無気肺は残存あるが改善傾向
生後11日 再度IMVへ
生後12日 新規の右無気肺あり
生後18日 無気肺改善傾向
生後20日 肺リハビリテーション開始
生後32日 転院先で気管切開を施行予定
◎循環
<急性期>
代謝性アシドーシスに対してメイロン大量投与、血圧低下に対してカテコラミン、EFP、HDC投与
<亜急性期>
利尿はWQ100に対して2mL/kg/hだったが、浮腫、体重増加、胸腹水出現、血管透過性亢進を疑いアルブミン、利尿剤投与
生後23日に出生体重まで体重減少が得られ、利尿剤中止
◎血液
出生当日 DIC 5点(FFP投与)
生後1日 DIC2点(改善)
◎神経
<急性期>
入院時よりEEGで脳波はフラットであり、自発運動は見られず、PB投与
出生当日ー生後3日体温36.0℃管理、出生当日ー生後2日硫酸Mg投与
生後5日頭部MRIで重症HIEの所見あり
<亜急性期>
生後14日のMRIで嚢胞性脳軟化症の変化
<慢性期>
生後20日リハビリテーション開始
生後67日自宅近医の医療機関へ転院