奇跡の寝たきりっ子が逞しく生きる!

脳性麻痺児の親になって初めて知った「臍帯血バンク」

臍帯血って、ご存知ですか?

へその緒を流れる血液だそうです。

白血病や脳性麻痺の治療等から、最近では再生医療細胞治療の分野で注目されています。

将来、赤ちゃんやその家族を重大な病気から救うために、臍帯血を保管できるのは出産時だけです。

今私は、もうすぐ生まれてくる我が子のために、臍帯血の凍結保存を考えています。

費用は10年間で24万円です。

今回は、臍帯血バンクに登録しようと思ったきっかけや理由、私の想いを書き残します。

  1. 臍帯血バンクを知ったきっかけ
  2. 臍帯血を保管する理由
  3. 公的バンクと民間バンク
  4. 重度脳性麻痺児の親となって
  5. 子供のために親がしてあげられること

1.臍帯血バンクを知ったきっかけ

記憶が曖昧ですが、きっかけはInstagramだったような気がします。

元々、私はSNSが大の苦手でした。

実際、去年までLINE以外のSNSアカウントを1つも持っていませんでした…

いつでもどこでも誰かと繋がれるというメリットがある反面、常に誰かに監視されているような感覚があって怖かったのです。

私が参加していないコミュニティだったとしても、スマホに呼ばれたらすぐに反応しなければいけない義務感が、私にとっては窮屈でした。

しかし、逞人という重度脳性麻痺児を育てていく中で、いろんなSNSで情報収集をするようになりました。

稀な出産体験をした私と、奇跡的な生まれ方をした逞人…

インターネット上で情報の収集や共有をするしかなかったという方が近いのかもしれません。

その中で、臍帯血バンクの存在を知りました。

「きょうだい間の臍帯血投与」に関する記事を読んだのが、最初の最初だったような気がします。

その後も、脳性麻痺児へ臍帯血投与の後に回復が見られたという記事を目にしたり、

きょうだい間での臍帯血投与に向けて活動している方に出会ったりする中で、少しずつ知っていきました。

正直、最初は「へー、こんなのもあるんだ〜」くらいにしか思っていませんでしたが、

いざ2人目の出産が近づいてきた今、前向きに真剣に考えてみようと思っています。

2.臍帯血を保管する理由

体のさまざまな組織の元になる細胞(幹細胞)が、臍帯血にはたくさん含まれているそうです。

また、障害が起きている場所の炎症を鎮める幹細胞が多く含まれることもわかっています。

臍帯血は赤ちゃんの血液になります。

もしも将来、赤ちゃん本人に再生医療が必要になった場合、その臍帯血は100%適合するため副作用等がなくて安全です。

脳性麻痺や自閉症、小児難聴といった障害病気に備えることが、民間の臍帯血バンクで臍帯血を長期(10年間)保管する主な理由です。

実際に、低酸素性脳症の子や脳性麻痺児への臍帯血投与による治療は行われています。

全国的にみても現段階では数件ですが、最近やっと承認された治療法で新しい分野なので、まさにこれから進んでいくのではないかと思っています。

十年一昔とはよく言いますが、10年あれば時代はガラリと変わります。

10年前のスマホの普及率は1割未満でした。

キャッシュレス決済なんて言葉、10年前にはありませんでした。

これらのことを思えば、この10年で医療もかなり進歩したでしょうし、さらにこれからの10年は加速度的に発展していくだろうと考えられます。

今の技術では対応できないものを未来に託すという選択が、かなり現実味を帯びてきているように感じます。

医療の進歩や可能性を未来に託して、そこに大きく期待する…と言うと少し違う気がしますね…

期待、というより、希望をもっています。

「生まれてくる子のために今できることはしてあげたい」という親心でしょうか…(照)

善悪の問題ではなく、単に選択肢が私の中で増えたというだけのことでした。

再生医療や細胞治療の発展の一助に!とか

脳性麻痺の逞人のために臍帯血きょうだい間投与がしたい!とか

そんなメラメラでモリモリな気持ちはありません(笑)

※もちろん、これらもとても重要なことなので、全く否定する気持ちはないです※

今の私が1番に願うのは「保管した臍帯血が使用されないまま終わること」です。

「採った血も保管にかかった費用も、全部無駄だったね!」と、笑って言いたいです。

そのために、たった1度しかない出産のタイミングで採れる貴重な臍帯血の保管を真剣に考えています。

3.公的バンクと民間バンク

臍帯血バンクには、公的バンクと民間バンクがありますが、その違いは次のとおりです。

公的バンク 民間バンク
費用 無料(寄付) 有料(保管委託契約)
対象疾患 白血病などの血液疾患 再生医療や細胞医療
対象者 第三者 赤ちゃん本人(家族)

公的バンクでは臍帯血の寄付を募っており、第三者のために役立てられます。

献血みたいな感じでしょうか…

民間バンクでは、本人も含めた家族の病気や障害に備えて保管できます。

本人の臍帯血は適合率が100%なのも、民間バンクに預けるメリットです。

4.重度脳性麻痺児の親となって

重度の脳性麻痺児の親となり、ここまで全力で子育てしてきたからこそ、民間の臍帯血バンクに興味をもちました。

最初の取っ掛かりとして、きょうだい間の投与に関して希望を感じたことも事実です。

もし生んだ子が逞人でなかったら、きっと何も知らないままだったでしょう。

逞人が私にもたらしてくれた経験知識が、今の私の大きな財産となっています。

もちろん大前提として、今回の出産時に採取して保管する臍帯血は、お腹の子の血液でお腹の子のためものです。

決して逞人のためのものではありません。

しかも、逞人に対して回復や改善も、特に期待していません。(前向きな意味で!ですよ!!笑)

このままで、ありのままで、逞人は逞人のまま、丸ごと全部、可愛いのです❤︎

でもいつか何かのタイミングで、この子たちの役に立つときがくるかもしれないから、備えておいてもはないかなと思いました。

あとになって、あの時やっておけばよかったって後悔するのは、何よりももったいないことです。

費用も手間も血液自体も、あわよくば一生懸命書いているこの記事まで全部、無駄に終わることこそが私が臍帯血バンクに期待していることなのですから。

5.子供のために親がしてあげられること

2人目の妊娠に際して、悩むことは本当にたくさんありました。

逞人に弟か妹がいたらどんなに素敵だろう…

きょうだい仲良く助け合い、きっと私たちの力になってくれる…

そう思って、やっぱり2人目が欲しい!と思ったかと思えば、

胎盤早期剥離を起こすと、次もそうなるリスクが高い…

また流産したらどうしよう…

逞人は助かったけど、次は死産かもしれない…

そもそも私が死ぬかもしれない…

無事に生まれてきたとしても健常児とは限らない…

逞人だけでも精一杯なのに、本当に育てられる

と、ネガティブとポジティブを何度行ったり来たりしたかわかりません。

しかし、ふと「私は誰のために悩んでいるんだろう…」と考えた時、私の結論は「自分の保身のため」でした。

自分の命や身体や心を守るのに必死で、子どもたちのためを思ってのことではありませんでした。

もちろん、自分を守ることも大事なことです。

私の人生は私のもので、子供の人生には関係ありません。

私の不安悩みも私だけのもので、子どものせいではありません。

自分は自分!他人は他人!

子どもの人生は子どもだけものです。

安心安全かつ最短距離で進める立派なレールを敷いてあげたい気持ちをグッと堪え、子ども本人の意思や気持ちを尊重してあげることに力を尽くせるになりたいです。

そうは言っても、自分たちではどうしようもできないような場面も、きっとこれからあるでしょう。

そんな時の1つの武器として、臍帯血バンクを利用するのも良いのではないかと思います。

民間の臍帯血バンク登録は、子どもに対する「レール」ではなく「保険」です。

自分たちでやれるだけのことはやって、あとは何でもこい!ってドンと構えてるを目指します!